「夏の自然」と聞いて、どんなものを思い浮かべますか?
空高く飛ぶトンボ、にぎやかに鳴くセミ、照りつける日差しに青々と茂る草木、キラキラ光る川の水、冷たい風が通り抜ける森の木陰……。
日本の夏は、自然のエネルギーに満ちています。
そんな季節の変化や自然の魅力を、子どもたちに伝えるのにぴったりなのが「絵本」です。
特に未就学児〜小学校低学年の子どもにとって、自然の中での遊びや観察は五感を刺激し、豊かな感受性や探求心を育む大切な体験です。
この記事では「自然と遊ぶ夏の絵本」をテーマに、親子で読んでほしい7冊を厳選してご紹介します。
なぜ「自然の絵本」がおすすめなの?

実体験とつながるから記憶に残る
絵本で見たセミ、図鑑で調べたカブトムシ、近所の川で見たおたまじゃくし……。
絵本を読む → 外で出会う → 絵本と重ねて思い出す、という流れで「知識が体験に変わる」んです。
外での遊びがもっと楽しくなる
虫や草花をテーマにした絵本を読むことで、「あ、これ絵本に出てきたやつだ!」という発見が増えます。
自然遊びの導入としても最適です。
都会や室内でも、自然への興味が芽生える
自然が豊かな地域に限らず、ベランダのプランター、公園の一角、団地の植え込みにも発見がいっぱい。
絵本は「自然を見る目」を養ってくれるのです。
【自然と遊ぶ夏の絵本】おすすめ7冊

ここからは、テーマ別におすすめの絵本を紹介していきます。
生きものとの出会いを描いた絵本
『なつのいちにち』
著:はたこうしろう(偕成社)
虫取り網を持って飛び出す少年が、クワガタを追って走り回る一日。
セリフの少ない絵本ですが、その分、ページをめくるたびに音や匂い、風を感じるような臨場感があります。
▶おすすめ年齢:3歳〜
▶読み聞かせPOINT:セリフが少ない分、親子で自由にお話をつくって楽しめます。
『せみとりめいじん』
作:かみやしん(福音館書店)
「せみをとるには、まずせみをしること」——。
種類や習性、鳴き声の違いまで網羅した“虫取りのバイブル”ともいえる一冊。
読んだあとは、きっとセミを探しに行きたくなるはず!
▶おすすめ年齢:4歳〜
▶読み聞かせPOINT:図鑑的な要素もあるので、セミ観察前に読むとより実感が湧きます。
自然のなかで「感じる」絵本
『かぜのひのおはなし』

作:かこさとし(小峰書店)
夏の草原を吹き抜ける風、その風に乗って旅する物語。
言葉選びがとても美しく、自然のリズムや音が詩のように伝わってきます。
▶おすすめ年齢:3歳〜
▶読み聞かせPOINT:「しゅるるるる」「ひゅううう」などの擬音を声で楽しんでみて。
『あつい あつい』
作・絵:垂石眞子(福音館書店)
暑い暑い夏の日、涼しい場所を探しに出かけるペンギン。
「ひかげだ!」と近づいてみると、そこにはアザラシが。ところがアザラシも「ぼくもあついの」と、さらに次の動物を訪ねていく展開に。
カバ、ゾウ…と、動物たちが次々と集まり、みんなで「もっと涼しいところ」を目指します。
最後にたどり着いたのは、青い海!「ざっぶーん!」とみんなで飛び込む場面は、読んでいるこちらまで涼しい気分になります。
▶おすすめ年齢:2歳〜
▶読み聞かせPOINT:リズムのよい繰り返しと、ページごとに増えていく動物たちのやり取りが楽しい。
▶自然体験とつなげるなら:「暑いね〜」と言いながら水遊びやプール遊びに誘うのも◎
『まほうの夏』
作・絵:はたこうしろう(岩崎書店)
夏休みの始まり、男の子はおばあちゃんの家にひとりでお泊まりに行きます。
虫取りに、川遊びに、夜の星空観察――日々の出来事が、ひとつひとつまるで“まほう”のように感じられる。
そんな夏のきらめきが、丁寧な文章と鮮やかな絵でつづられています。
おばあちゃんとの暮らしや、自然とふれあう時間があたたかく、どこか懐かしい気持ちにさせてくれる一冊。
子ども時代に誰もが感じた「特別な夏」の記憶を呼び覚まします。
▶おすすめ年齢:5歳〜
▶読み聞かせPOINT:少し長めの文章なので、落ち着いた夜の読み聞かせにおすすめ。語りかけるように読むと◎
▶自然体験とつなげるなら:おばあちゃんの家や、自然豊かな場所での滞在体験とリンクさせやすい絵本です。
夏の植物と季節の変化を描いた絵本
『ひまわり』
作・絵:荒井真紀(金の星社)
庭の土にまかれた、たった1粒のひまわりの種。
そこから芽が出て、葉をひらき、茎がのび、花が咲いて――やがてまた種をつけるまで。
ひまわりの一生を、繊細で写実的な絵と、やさしい語り口で丁寧に追っていく科学絵本です。
ページをめくるたびに成長していく様子がわかり、自然の力強さと美しさに気づかされます。
植物の成長をじっくり観察したくなるような、静かで力強い作品です。
▶おすすめ年齢:4歳〜
▶読み聞かせPOINT:季節の変化や植物の命の流れを、落ち着いて語るように読むのが◎
▶自然体験とつなげるなら:実際にひまわりの種をまいて育ててみると、絵本とのリンクがより深まります。
『あさがお』
作・絵:荒井真紀(金の星社)
ある日、庭にまかれたあさがおの種。
やがて芽が出て、ぐんぐんとツルをのばし、葉をひろげ、つぼみがふくらんで、花が咲く――。
そしてその花はやがてしぼみ、種となり、また次の命へとつながっていきます。
荒井真紀さんならではの、やわらかで写実的な水彩画が美しく、あさがおの細かな成長の様子や色の変化までも丁寧に描かれています。
静かだけれど確かな命の流れを感じられる、心にしみる科学絵本です。
▶おすすめ年齢:4歳〜
▶読み聞かせPOINT:朝顔の成長をなぞるように、季節の移ろいとともに読んでみて。自由研究や観察日記の導入にも◎
▶自然体験とつなげるなら:実際にあさがおを育てながら読むと、絵本の世界がさらにリアルに感じられます。
絵本を読み終わったら……自然体験につなげよう!

絵本は、子どもにとって「体験のきっかけ」になるもの。
自然の絵本を読んだあとに、ぜひ外へ出て実際に見て、触って、感じてみましょう!
おすすめの自然体験アイデア
- セミの抜け殻探し
- 草花あそび
- 葉っぱスタンプ、草のにおい探し
- 絵本を片手に公園や里山へ「フィールドワーク」!
まとめ

自然の中にある「美しさ」「ふしぎ」「いのち」の物語。
それをやさしく、楽しく伝えてくれるのが「自然の絵本」です。
夏の自然はとてもドラマチック。
その中に子ども自身が登場人物として関われるのが、絵本+体験のすばらしさ。
都会でも、郊外でも、家の中でも。
「自然にふれる心」を育てる第一歩として、ぜひお気に入りの一冊を手に取ってみてくださいね♪
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